切粉処理装置で生産現場の危険を減らす「三愛エコシステム株式会社」。

生産現場には事故がつきもので、耳が痛くなるようなニュースを聞いたりすることも日常でありますよね……。今回お邪魔させていただいた『三愛エコシステム株式会社』さんでは、そんな生産現場の危険を減らすことができる”切粉破砕機”という製品を取り扱っています。代表取締役を務める佐藤社長に、どんな製品なのか詳しく尋ねてみました。

三愛エコシステム株式会社 代表取締役社長
佐藤 直樹 Naoki Satou

神奈川県座間市出身。高校卒業後、父親が経営をする「三愛工業」へ入社し製造の世界に足を踏み入れる。2004年1月、拠点を厚木市へ移転し『三愛エコシステム株式会社』が設立され、2018年7月に代表取締役社長に就任。

色々な道のりを辿り、製造業の現場に入ることを選択する。

——佐藤さんはご出身はどちらなんですか?

佐藤さん:神奈川出身で、元々は座間です。

——座間だったんですね。今のお住まいは?

佐藤さん:今は厚木です。もともとはうちの父の代から小さい町工場を座間でやってて、もう35年ぐらい経ちますね。その当時は色々景気の波に翻弄されながら、2、3ヶ所場所を移ったりしたんですけど、2015年の12月にここに移ってきました。

——なるほど、お引越しされてきたんですね。高校も近くに通われていたんですか?

佐藤さん:当時は座間に住んでいたので、大和市の高校に通ってました。高校生のうちにこっちに引っ越してきて、高校出てそのままうち入って、それからずっと現場です。

——その時からずっと働かれてるんですね。お父様の会社を継がれることは決めていたんですか?

佐藤さん:いや、全然意識してなかったんですよ、好き勝手してました。その時の流行りの遊びなり、熱中すればそっちの道に行きたいとか言い張ってみたりとか (笑)。

——えっ(笑) 。当時熱中されていたこととは?

佐藤さん:当時アマチュアバンドブームで、ちょっと少し音楽をかじったりしてました。

——何を演奏されていたんですか?

佐藤さん:ドラムやってたんです。

——えー! 凄い。上手そうです。

佐藤さん:いや、もう見る影もないです (笑)。

——色んなことをされながら過ごしたんですね。

佐藤さん:そうですね。でもその世界には上には上がいることを知って、だんだん自信を無くすことが出てきて、それはそれで挫折という感じです。高校を出て、仕事は家業に入ってとやっている中で、最初のうちは趣味にも多少力入れながら仕事をしていました。

——お仕事は楽しかったですか?

佐藤さん:製造業は子どもの頃から両親がやっていたことでもあるので馴染みのある世界でした。それに、子供のころから粘土細工やプラモデル、そういったものづくりが好きだったので。だから、音楽でメンバーを作るときも、どのパートにしようか、ドラムが良いかなんて深く考えていたわけではなかったんです。ただきっと、装置ものは好きだったんですよね。ギターとかってかっこいい感じもあるけど、後ろでドスンとセットが置いてあるのがかっこよく見えたんでしょうね……子ども心に。そんなこともあって、子供のころから馴染みのある業界、業種でもあるし、作ったりするのも好きな方だったので、楽しかったですよ。

——子どもの頃から、製造に馴染みがあったわけですね。

佐藤さん:もともとは部品製造を町工場でやっていて、それが今のビジネスの形になったんです。生産をする時に出てくる「くず」の分野ですね。そういったくずが、製品を作ると必ず出てくるんです。当時うちの工場も狭かったので、この不要な物が場所を取っている環境をどうにかしようと手を付け始めて、今に繋がってきているんです。従来は、製品を持つメーカーさんの一部の部品を作るという一分野から、「くず」問題に手を付け始めて続けているうちに、今度は自分達の製品を作り出して、自分達でマーケットを開拓して、自分達のアイデアを製品にして販売していく道に入っていったんです。

 


——三愛さんの社名の由来、行動指針についてお聞かせください。

佐藤さん:もともと父が個人事業主の状態でやっていまして、厚木に引っ越してくる時に父が、先を見定めるようなことが多分あったんだろうけど、有限会社として法人化して、形をきちっとやるよっていう風したんです。もう苗字被せるのやめようってなって。で、そういう縁起担ぎ的なことを見てくださる人もいたりして、じゃあどういう社名がいいですかねって聞いたときに、漢数字の三を付けるのは縁起がいいよって言われまして。「さん~」とか、「みつ~」とか……例えば三菱だったり三越とかですね。「さん~」っていったときに、どういう字にしようかっていうので、愛の字は両親が付けたんですよね。

——聞いたら忘れられない感じがあります。

佐藤さん:三つの愛が持つ意味と、三つのiが持つ意味と、環境的なものに対しての配慮をいれて「エコシステム」を加えて。それでちゃんと商売していって、両方達成できたらいいですねっていう話で。

——お客様はやっぱり周辺の方が多いんですか?

佐藤さん:実際当社のユーザーさんは厚木市内にはいなくてほとんどが県外なんです。実は先週の土日も、金曜日から日曜にかけて鳥取に行っていまして。営業のメンバー中心に、今日も大阪へ出張している社員もいるし、愛知県に出張してる者もいるし。昨日も三重へ出た人、一昨日は千葉に出た人もいたり。北海道だったり鹿児島だったり、コロナ前は中国だったり、インドネシアだったり、ベトナムだとか。

 

少しでも危険を減らしたい。切粉処理装置が可能にする未来。

——事業について聞かせてください。切粉(きりこ)が現場にあることでどんな影響があるんですか?

佐藤さん:製造で言えば、製品を作る方が主力で、作れば作るほど切粉やくずが出るんですよね。だから、切粉が出た瞬間から早く捨てたいものなんですよ。家庭内でいえば台所の生ごみのような、料理を作ったら必ずでる卵の殻みたいな感じです。ずっと置いておくと、お金を産まないものがずっと場所を取ってることになります。技術的な話なんですが、油とか潤滑、冷却油をバーッとかけながら削るっていう加工をするんです。その時に出た削りくずにはそういった油が付着しているので、置いておくとぽたぽた垂れてきて床が油だらけになったり匂いも出たりします。置き場が屋外であれば、雨にあたって土に染み込んでいくこともあります。ある大手車両メーカーさんでも、コンクリートのピットに置いていたら、劣化してクラックが入った所に油が染み込んで、敷地外の川に流出した問題が起きたり。そういった環境面、工場内であれ工場の敷地外であれ、周辺環境に対する悪影響、有害物質の漏出、悪臭の発生とかがまず一つあります。

——他にはどんなことが?

佐藤さん:見た目は薄くペラペラしてるんですけど物自体は金属です。薄いカミソリみたいなので素手で触ると傷だらけになります。つまり、作業者が怪我をする問題があるんです。労働安全衛生というのが年々厳しくなっていく中で、まず素手で触るなというところから始まり、手袋を付けても簡単に切れちゃったりして。パッと手を怪我してしまうと労災になってしまう。そういったことがあれば、企業が新たに人材を採用しようという時に、環境の悪い工場ってことになってしまいますよね。勤めている人も度々怪我をするので、こういう仕事は離職しようって話しになったりとか。企業としても労災の発生っていうのはマイナスになるので抑制したいじゃないですか。とにかく、人体への危険源になるという問題も一つとして挙げられますね。

——たしかに、危険ですよね。

佐藤さん:もう一つは、自動化や無人化、ロボットとかそういったものが具体的に流行りになってますけど、機械自体は材料セットして加工スタートすれば自動で動くので、どんどん無駄なくやっていくことで高い生産性が生まれているんですね。だから、厄介なのものが機械の中に詰まったり、綺麗に仕上げようと思っている製品にグルグルに巻き付いてしまって製品が傷だらけになってしまうことがあります。中で詰まってしまって機械トラブルになって、1時間に100個作りたいという目標があるのに、そいつが詰まってしまうことによって1時間50個しかできませんでしたっていうことが不定期に起こる。それが生産性を低下させてるんです。出たあとのもの(クズ)を箱にためる、かさばる、人が運んで入れ替えたりとか、次の空箱をすぐわきに置いておかなければならないなどもある。人が何かしなければならないとなるとそこでも生産性が下がる。だから自動化とか、生産性向上の物理的な妨げになる。大別すると、今言った三つの大きな問題があります。

 


——国内初の金属研磨スラッジ圧縮処理技術とは、どのような技術なんでしょうか?

佐藤さん:他のメーカーで固まらなかったものがうちの機械だと固められたというところがスタートですね。

——全然想像がつかないのですが……色んな実験をやって何年もかけてようやく完成した!ってなるんですか?

佐藤さん:そうですけど、予想しながら実験を何度も繰り返しています。このぐらいの圧力でプレスしたらどうだろうって形で。これはやってみないと分からないところが正直あるんですけど、予想しながら試していきます。

——見つけていくような感じですか?

佐藤さん:そうそう、創作料理的な感じはあるんですかね。創作料理と言っても、この料理のあの部分と、あの料理のあの部分をもってきて、誰も付けてなかった調味料かけたら意外と美味しかった、みたいな感じかな。似てるとこもあれば違うところもあるし。

——それをホントに何度も繰り返すんですよね。

佐藤さん:失敗も中々多いですけどね。

——”これだ”ってなったときは、もう喜びの気持ちとか凄いですよね?

佐藤さん:ありますね。ただ反面、まだ全部が100%完成したとは言い切れないっていうのもやってる側の感覚としてはあって、やっぱり何かが足りないんですよ。ピタッとハマるときもあれば、ちょっと条件が違うお客様へ持っていくと、しっくりピタッとハマりきってないなぁっていうことがあるんです。

——同じような事業をされてるメーカさんって結構いらっしゃるんですか?

佐藤さん:うちが今携わってるのは金属切削加工っていう分類なんですけど、その分野向けのクラッシャーメーカーだとうちも含めて国内で7、8社いますね。さらに固める方の圧縮機だと5社ぐらいかな。ただ、うちが強みにしているのは両方自前で持っていることですね。それぞれの分野でライバルが違うっていうことです。

——なるほど、では一貫して御社でご対応できるということですね。

佐藤さん:そうですね。それが強みでもあり、あっちもこっちもっていう欲をかいたことで苦労になったこともあります。お客様がこの状態(クラッシュ後)が出るってことは集約されるんですけど、ただ最終的にこういう風(プレス後)にしたいっていうお客様と、とりあえずここまで(クラッシュ後)でいいやっていう目的がどうであるか。くずをプレスするための機械を一生懸命売り込んでいても「うちはそこまでやらないからいいです、機械も高いし…」みたいな話になるんで、じゃあクラッシュ後まででいいならうちこういうのもあるんで、こういうのどうですか?って。

”あったらいいよね”ではなく、”なくてはならない”当たり前の存在になっていく。

——今ある製品を使って別の活用方法などをご検討されたりしますか

佐藤さん:この分野は奥が深いのでまだ無いですね。ようやくメジャーな範囲に近づきつつある感触が少し出てきた感じがあるので。従来弱点だったのはこの製品が直接収益に結び付く範囲ではないところです。メインの収益を生むための活動があって、そのために出てきたあとは捨てるだけのものを細かくするか固めるかって話しなんです。あったらいいけど、別になくてもいいやっていうのはずっとどうしてもあったんですよね。ただ、先ほどの大きな問題が3つありましたけど、あった方がいいよねって気付く人は実際に事故が発生してしまって当事者として困った人なんですよ。周りの川に油が流れていって農家から物凄くクレームがきた、路上にひっくり返しちゃって走っていた車が踏んづけてパンクしちゃったとか、勤めていた従業員がものすごい大怪我して指が動かなくなってしまったとか、そういった大問題に発展したときに当事者だった人からすると、これは問題点だなって分かる。

——たしかに、事故が起きてからでないと中々気づきにくいですよね。

佐藤さん:ところがだんだん世の中が変わって、生産性向上の見直しや働き方改革が起こりました。残業するなとか、一週間のうち何時間は働く時間を抑えなさいとか。じゃあ時短することはできるけど、工場なり企業なりは月間や年間に作り出す生産を落としたくないわけじゃないですか。人が動くイコールで成り立っているような生産品って、人が動くのが6割だったら生産力も6割だし、従って販売する量も6割、収益も6割……維持できませんよね。人数減らせばいいのかっていうと法律があってそれもできないし、それをやってしまったら元も子もない。じゃあ、工場に人がいない時間が生じている夜間だったり、週末・祝日とかも、人がいなくても生産が滞らないようにできないかって、色んなロボットメーカーや自動化装置のSIerのメーカーが色々やっているわけです。ロボットとセンサーを物凄く組み合わせて、どんどん今ロボットが進化している。当社が携わっている分野も、人が箱を入れ替えてとか、それこそ一銭にもならない仕事を人がやっているのはどうなんだって話しですね。

——そうですよね。必要なものだということが分かります。

佐藤さん:ファクトリーオートメーションって括りになるんですけど、FAの世界の中の1分野としてはある程度市民権を得てきて認知度が上がってきたと思います。伴って、ちょこちょこ競合メーカーが出てきたのはあるんですけど、どんな分野でも競争相手は必ずいるわけで、あっちこっちでやっていれば全体がどんどん活性化していく思います。機械入れます、刃物入れます、油もメーカーもってやったら切粉処理のメーカーも呼びましょうって。スタートの段階で、少しこう中核に近づいたなって。

——最後に、御社の今後の展望があれば教えてください。

佐藤さん:さっき言ったように、今行っているお客様の現場の中に、必ずあるものになりたいです。「おたく、こういうの使ってんだ。うちは使ってないけど?」みたいなレア感の対象じゃなくて、当たり前のものに。「えっ、無いの?」って言われるところにいきたいです。

ー良いですね 。締めに佐藤さんの人生の目標をください。

佐藤さん:仕事上これは達成しなきゃとか、子どもたち小さいからこうしなきゃっていう細かい節目の課題は色々あるんですけど、むしろもう50になったんで、50にして天命を知るっていうのもあるから、ある意味今の自分を素材にリスタートしてこの先があるんだろうなぁって。今の自分の姿の延長上で想像つく範囲しかできないかなってある種諦めは実感を持ち始めて、それをちゃんとやるっていうくらい。夢なのか、欲なのか分からない。夢なのか目標なのかって違いもあるしね。

 

佐藤さん、取材にご協力いただきありがとうございました。生産や製造と聞くと造る方の製品ばかりをイメージしてしまいがちでしたが、造る中で生まれる不要物の処理をどうするかは大きな問題だと実感しました。「危険を減らす」こともそうですが、環境への配慮も欠かさない佐藤さんの姿勢が素敵でした。

 

三愛エコシステム株式会社

住所:神奈川県厚木市長谷260-57
TEL:046-290-0106
ホームページ:http://www.san-ai-eco.com/

 

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