厚木の方は皆さんご存知のカフェレストラン「BENGAL」。今年で40周年を迎える歴史ある老舗にお邪魔しました。先代からお店を引き継ぎ、2代目として、創業から変わらない味を提供し続ける加藤さんにお話しを伺いました。
BENGAL
加藤 圭 Kei Katoh
厚木生まれ厚木育ち。ガーデニングの仕事から一転、先代からBENGALを継ぎ、変わらない味を提供し続け18年。気さくで親しみやすい人柄。
創業から、ずっと変わらない味を作っていきたい。
ーBENGALさんはもうすぐ40周年を迎えられるんですね。
加藤さん:今年で40周年ですね。
ー加藤さんはオープン当初からずっといらっしゃるんですか?
加藤さん:僕は2代目なんです。父が創業して、僕は26歳の時に入ったので、僕自身は18年ぐらいになりますかね。
ー先代のお父様が創業されたんですね。
加藤さん:そうですね、父が始めて、今は事業承継して自分がやっています。
ー料理人になること、お店を継がれることはずっと決められていましたか?
加藤さん:それが、ひょんなきっかけがあって、初めは全然違う仕事をしていたんです。ですが、母が病気になってしまって……それがきっかけで以前の仕事は辞めて、このお店を父と一緒にやっていくことになりました。両親からは「やりたい仕事をやっていいよ」と言ってもらえていたのですが。
ー以前はどんなお仕事を?
加藤さん:今の飲食とは全く関係のない、ガーデニングの仕事をしていました。
ーへえーー! そうだったんですね!
加藤さん:ガーデニングの仕事をしながら飲食の仕事もしていたので、お店にはすんなりと入れた感じがありました。別の仕事をしていましたが、20年以上、父と母がやっていたお店を見ていましたし、これから先の自分の人生をこういう形で恩返しできればいいかなって。
-とても素敵な恩返しですね。
加藤さん:そういったきっかけではあったんですけど、今のこの形も面白いなって思っています。一国一城の主っていうのも、夢というか、そういった気持ちもありましたので。BENGALを好きでいてくれるお客さんが多いので、長くお店を続けていきたいなという想いもありますね。
-元々料理をすることもお好きでした?
加藤さん:好きですよ! 元々料理することも好きでした!
-ガーデニングのお仕事から一転、お店に入られてから料理の修業など大変でした?
加藤さん:それが見よう見まねと言いますか、基本的に父親は職人気質なので、親父の背中を見て親父の料理の腕を盗みながらやっていました。アルバイトでキッチンやホールの経験もあったので、今までの経験もひっくるめた中で、うちのお店のオリジナルのことを学んで実践していってる感じですね。キッチンで2年、ホールで7年ほどアルバイトをしていたので、接客も好きでした。だからこう、”修行した”という訳ではないんです。
-日々、お父様の背中を見て技術を身に付けていった感じなんですね。
加藤さん:実は父も同じで、このBENGALを脱サラで始めたんです。父も最初は石屋さんで働いていましたが、この土地を手にして、それがかなり広かったものですから、40年前はまだあまりお店が無かった時代でしたし、 そこで一念発起してお店をやろうって始めたそうなんです。最初は小さなカレーと喫茶のお店から始めたみたいです。
-厚木はずっと変わらず?
加藤さん:ずっと厚木です。父も僕も厚木生まれ厚木育ちなので。 あの壁に掛けている写真が創業当時のものですね。今のこの店のひとつ前、1982年の頃だったかな。この外観になってから20年が経つので、創業当時の写真のお店が20年、今このお店が20年って感じですね。
-20年前新しい外観に変わってから、すでに加藤さんはお店に立たれていたんですか?
加藤さん:その当時はまだ学生でした。お店を継ぐ継がないも決めていませんでしたね。
-まだ学生だったんですね。
加藤さん:でも、今同じようにこの建物を建てることになったら、自分の力で建てるのも大変だと思います。それに、せっかくお客さんが来てくれて、料理があって建物があってとなれば、自然とやらない選択肢はなかったのかなと。お客さんにも沢山来て頂けますし、厚木もそうですが七沢には洋食屋がないので、パイオニア的に今も頑張ってます。
-先代のお父様が洋食を始められたのは、なにか想いやこだわりがあったんですか?
加藤さん:洋食は親しみやすさもありますし、洋食を嫌いな人ってそれほどいないですよね。まだ40年前にはファミレスもそんなに無い時代ですし、スタンダードな洋食が先代も僕も好きだったので。昨今流行りの料理はあると思いますが、僕の中では50年100年続くような老舗の鰻屋さんのような、オーソドックスで何も変わらないけど”いつ来ても美味しい料理”が良いなって思うんですよね。そういった所を目指していますし、変わらない味って安心するじゃないですか。やっぱり、そこがすごい大事だなって。特にその点は意識してやり続けていますね。その点がまた、お客様を大事にすることにも繋がっているとも思います。味はできるだけ変えず、同じ味を続けていく。だから洋食っていうこだわりは強いですかね。 冒険もできないんですけど、それでもやっぱり、大人も子どももハンバーグ等が好きじゃないですか。
-洋食って美味しいですよね。
加藤さん:一番おなかが空い時に食べたくなる料理って言うんですかね。洋食はシンプルで単純ですけど、今、飲食店に求められることはそういった部分な気がするんですよね。
-変わらない美味しさでしょうか。
加藤さん:そうですね、時代も変わってお客さんも変わりますが、変わってはいけないものもあると思うし、変えていくものは変えていって、時代の流れに乗りながらも、揺るぎないものは揺るぎないようにしていくことでしょうか。それが続けられてきたから、40年続いているのかもしれません。
-厨房でお料理されるのは加藤さんだけなんですか?
加藤さん:先代の父も一緒にやっています。
-お父様も厨房に立たれているんですね。
加藤さん:まだまだ現役でやってますよ。親子二人で、阿吽の呼吸で作ってます。
-なるほど。
加藤さん:夕方のテレビで映る下町の洋食屋さんの、あの何も言わなくてもポンッと欲しいものが出てくるような、あんな感じですね (笑) 。お互いに何も言わずともできる感じです。
-親子だからこそできることでもありますよね。
加藤さん:そうですね、何でも言い合えますし。でもやっぱり、仲が良いのもありますけど、BENGALを続けたいって思う気持ちは親子一緒なので、 同じ方向を向いてれば自然とお店も続いていくかなって。お互いに尊重し合って、良い関係を築いてやってくっていうことが一番大事だと思うんですよね。 親父も自分の意見を尊重してくれるし、自分も、親父のやってきたことを尊重してやってますので。
-コロナ禍になって2年程経ちますが、やはり打撃はありましたか?
加藤さん:大変でしたね。お客さんも我慢しなければいけないじゃないですか。お店ももちろん大変でしたけど、お客さんが食べに来られないことが、一番大変だったと思います。テイクアウトで何とか凌いだりもしましたけど……。でも、コロナ禍になって痛感したのは、家でも仕事場でもなく、”食べる場所”っていうサードプレイス的な場所であるべきなんだなって。仕事で食べるご飯も、家で食べるご飯も大事ですが、お店に家族で来て食べることって楽しいじゃないですか。うちのお店も、そういう場所であったんだなってすごく痛感しました。今、飲食組合の役員もやっているので、他店の大変な状況もいっぱい見てますし、だからこそ尚更に頑張って欲しい気持ちもありますし、自分も頑張らなきゃいけないって思います。
-おすすめのお料理はカレーですか?
加藤さん:カレーが人気ですね。ハンバーグも人気です。最近だと焼きカレードリアもよく頼まれます。ありがたいことに、うちの料理はお客さんがみんな写真撮ってくれるんです。SNSでも拡散してもらえてありがたいなって。最近テラス席がすごく人気で、ワンちゃんと一緒に食事を楽しんで、うちの料理も一緒にSNSに載せてくれる人がすごく多いみたいなんです。それが軽くバズってるみたいで (笑)。
-テラス席がオシャレですもんね。
加藤さん:土日はいつも埋まってしまって、テラス席はウェイティングがかかる位なんです。
―カレーは作り方にもこだわりがあるんですか?
加藤さん:トロトロになるまで煮込んだ欧風のカレーなんですけど、40年間ずっと変わらない味で作ってます。これも理由があって、年配の人から子どもまで食べやすいものであるべきっていうところでこのカレーの味にしてるんです。
―美味しそうです。ハンバーグはどうでしょう?
加藤さん:牛肉と豚肉の合挽きなんですけど、牛の旨みと豚のジューシーさの間を取って作ってます。和風ハンバーグは常連さんの中でも一番人気ですね。
―ランチはメニューが違ったりするんですか?
加藤さん:カレーとハンバーグのランチがあるんですけど、飲み物が付いてお安くご提供できるようにしています。
ー本日のランチっていうのは?
加藤さん:日替わりでいろいろと出していて、 30種類ぐらいありますかね。
ーそんなに種類があるんですね。
加藤さん:曜日毎に分けていろいろ出していて、オーソドックスなオムライスだったり、キーマカレー、あとは生姜焼きとか、洋食屋の鉄板料理が多いです。
ー最後に、これからの目標があれば教えてください。
加藤さん:長く続けていきたいというのはもちろんなんですけど、飲食店全般、厚木で頑張っているお店は沢山あるので、自分も頑張るけど周りにも頑張って欲しいなっていう気持ちがありますね。お互いに、厚木の飲食店が盛り上がっていければいいなって。そうすればどこへ行っても美味しい料理が食べれて、そうなればもっと厚木が盛り上がると思います……。特に今、このような時だからこそ必要だと思うんです。個の力だけではなくて、 厚木のお店全体で切磋琢磨して、良いものを出していければいいなって。相乗効果じゃないですけど、いいものをどんどん出していければいいですね。
ー取材のご協力ありがとうございました!
食べると思わず笑顔になってしまうBENGALのカレー。加藤さんの言う通りトロトロに煮込まれていて、辛すぎず甘すぎない、大人から子どもまで大好きな味ではないでしょうか。
一押しのハンバーグも美味しいの一言。「今日美味しいものを食べたいな」という方、ぜひ頼んでみてください。
BENGAL
住所:神奈川県厚木市七沢243-4
TEL:046-248-0848
営業時間:11:00~14:30 / 17:00~20:00
定休日:火曜日
ホームページ:http://cafe-restaurant-bengal.com/index.html
Instagram:https://www.instagram.com/cafe.restaurant.bengal/