唯一無二の魅力があふれる上荻野の古民家cafe「鐵馬厩」。

厚木市上荻野にある古民家カフェ「鐵馬厩(てつまや)」さんは2016年にオープンされたお店です。ハーレー好きのご夫婦が切り盛りされていて、店内は築250年以上の古民家をリノベーションした、和と洋を楽しめるオシャレ空間。オープンから7年目になる「鐵馬厩」さんへ取材し、オープンのきっかけからお話をお聞きしました。

鐵馬厩
大森  克次 Katsuji Omori

千葉県出身。和食料理人として10年間経験を積み、一度飲食の世界から離れる。陽子さんと出会い、二人でお店を開くことを決意。2016年、古民家をリノベーションし「鐵馬厩」をオープン。ハーレーをこよなく愛するライダー。

鐵馬厩
大森  陽子 Youko Omori

厚木市出身。学生時代に喫茶店でケーキ作りなどに携わった経験があり、カフェを開きたいという夢を持っていた。大森さんと出会い、二人でお店を開くことを決意。2016年、古民家をリノベーションし「鐵馬厩」をオープン。ハーレーをこよなく愛するライダー。

お互いに秘めていた夢が意外な形でわかることに。

-お店を開くことになったきっかけから教えてください。

大森さん:陽子さんと知り合って、お店をやりたいという話は全くしていなかったんですけど、一緒に暮らし始めて引っこしの整理をしていたら、 ”カフェを開くには”みたいな本をお互いに持っていたんです。お互いに「やりたかったの?」って。(笑)

-本がきっかけでお互いに秘めてた夢を知ったんですね。

大森さん:当時はお互いにサラリーマンでそこそこの立場にいたので、お店を開くことは夢だろうなと思ってました。もうやることはないな、と思っていたんですけど、いろんな人の影響を受けて、このまま人生が終わってはいけないって。それでやってみようかとお店を開きました。

-そうだったんですね。お店オープンから7年、 お店を開いてよかったですか?

大森さん:良かったです。もっと早く始めていればよかったなって思います。

-オープン当初はやっぱり大変でした?

大森さん:もうバタバタだったね (笑)。お店をやったこともなかったですし。飲食店で働いた経験はあったんですけど、いざ自分でお店やるのはまた違う話で。

-オープンからずっと二人三脚でやられてきたんですね。

大森さん:料理は僕でケーキや飲み物は陽子さん担当です。ケーキも陽子さんが学生時代に喫茶店でアルバイトしてて、その時にケーキなどを作っていたらしいんです。そのレシピをずっと取ってあって……。

陽子さん:カフェをやりたいなって想いがありましたので、 自分が気に入ったものは全部書き留めていて、20何年間ノートをずっと持ってたんです、カフェの開き方の本と一緒に。

大森さん:前に、昔陽子さんと一緒にアルバイトをしてた人が来たことがあったよね。そのケーキを食べたら、あ、陽子さんだって気付いてくれて。

陽子さん:アルバイトしていた時の先輩が来てくれたんです。ケーキの形とかを見て私だとわかったみたいで。

-ドラマみたいですね (笑)。

陽子さん:びっくりしました。30年ぐらい前の話だから、初めは全く気が付かなくて……。「そうだと思ってた」 って後から言われて。

-すごいですね。そもそも、カフェや飲食をやられたいと思ったきっかけは何ですか?

大森さん:自分の実家が食堂をやってたので、いずれは飲食業に行くんだろうなとは思ってました。1人でできる何か、ハンバーガー屋さんとかなら1人でできるかなとか……パン教室にも通ってみたり、いずれ何かの役に立てればいいなって。陽子さんと知り合って、いろんなお店に行って、いろいろ食べてみたりして、これならいけそうだなって、ある時何かがあったんだよね。

陽子さん:1人だと中々、お店を開くのは難しいと思ってて…… 体力的にも役割的にも。でも、できない部分も2人一緒ならできるかもって、そういう思いの方にだんだん気持ちが向くようになっていって、これならできるかもって。

ーいろいろな思いがあったんですね。お蕎麦もおいしくて好評だとお聞きしたのですが。

大森さん:蕎麦は手打ちで作っています。この物件が決まって、古民家って何かこう……蕎麦のイメージがあったんですよね。それで、蕎麦教室通うかって、2人で蕎麦を作れるようになりました。毎朝手打ちして作ってます。意外と好評なんです。

-厚木で開かれたのは何かゆかりがあって?

大森さん:自分は千葉県出身なんですけど、陽子さんが厚木出身だったのでこっちの方で物件を探しました。ご両親と近くにいた方が安心しますし。そしたら、意外と厚木ってライダーには良い場所だったんです。

-バイクはもともとご趣味だったんですか?

大森さん:2人の出会いもバイクです。ディーラーのツーリングで4、50台でよく走ってたんですけど、その時に陽子さんとも出会いました。

-へえーー!そこで奥様と出会われたんですね。今でも走られるんですか?

大森さん:今も走りますね。

-ハーレーの一番の魅力ってなんでしょう?

大森さん:何だろうな、 音とスタイルですかね。あとは、あまり飛ばさなくても、のんびり走っていてもかっこよく見えるところでしょうか。本当はもう1台ハーレーがあるんですけど、ちょうど1台車検に出していまして、 いつもはそこに3台並んでいるんです。

-鐵馬厩(てつまや)さんの由来ってなんですか?

大森さん:鐵の馬ってバイクやハーレーのことを言うんです。アイアンホースとも言いますね。厩は馬小屋という意味なんですけど、 今バイクが停まってるところが昔馬小屋だったんです。それで名前を「鐵馬厩」にしました。

-すごいインパクトありますよね。

大森さん:でも、読めないですよね (笑) 。読めない方も多いし、電話でどういう字書くんですかって聞かれた時は、こっちが説明できなくて……(笑)。昔の「鐵」という字をあえて使ってるんです。今の「鉄」は金を失うと書くじゃないですか。あんまり商売にはよくないなと思いまして。

-だから旧字体で「鐵馬厩」なんですね。

ーお店の雑貨や小道具などのインテリアは元々お好きだったんですか?

大森さん:この物件が決まってから、似合うものをって集め出しました。

陽子さん:もともとこういった雰囲気の物が好きだったのでしっくりきました。探して集めるのも楽しいですし。

大森さん:最初はコテコテのアメリカンで、一番向こうのスペースがアメリカンなガレージ、その雰囲気に全体を合わせようと思ってたんです。そうしたらオヘソガレージの藤江さんが、「お客さんが固定されてしまうし、向こうからだんだん和になっていくような空間がいいんじゃないですか」って提案をしてくれたんです。

陽子さん:「せっかく古民家だからそれも活かした方が」ってアドバイスも頂いて。そうすると、古民家が好きな方も来れますし、そうなったらいろんなことが、食器や家具もすごく選びやすくなりました。

-本当にだんだんと空間が和になっていますね。

陽子さん:和室は冬になると囲炉裏のテーブルにして、実際に炭で火を起こして、鉄瓶を置いて暖を取れるようにしてるんです。

-そうなんですね。ライダーの方以外にも結構いらっしゃいますか?

大森さん:主婦の方とか子連れの方、ファミリーで来て頂けたりもします。

-割合で見ると近所の方や厚木の方が多いんですか?

陽子さん:そうですね、横浜や川崎の方、県内の方が多いです。週末になると他県からもいらっしゃる方もいます。

大森さん:ライダーとそうではない方と半々ぐらいですかね。天気にもよりますけど。

-この空間すごい落ち着きますよね。

大森さん:お客さんもゆっくりされる方が多いです。オープンからラスト近くの17時位までいる方も結構いらっしゃいます (笑)。

陽子さん:結構いらっしゃるよね、4時間~5時間ぐらいなら。

-それはすごいですね (笑)。お二人のお優しい雰囲気もあって、ずっとここにいたくなってしまう気がします。

陽子さん:お店の回転も考えていなくて、ゆっくりしてもらえればいいなって。たまに寝てる人もいるんです。”あ、寝てる”と思って (笑)。

-そうなってしまう気持ちがすごくわかります (笑)。

ージャケットも販売されてるんですね。

大森さん:着られなくなったものを…… (笑) 。

陽子さん:ストレスもなくなって着られなくなったものをね (笑) 。

大森さん:10年以上前に買ったものがだんだんと着られなくなったので、あそこに吊るしておけば誰か買ってくれるかなって。

ー年代物のジャケットですもんね。

大森さん:見ると欲しくなっていっぱい買ってしまったんですけど、結局、気に入ったジャケットしか着ないので。

ーヘルメットも売り物なんですか?

陽子さん:ヘルメットは売り物ではくて、ツーリングで着るものに合わせて、実際に自分達で使ってるものです。

大森さん:ヘルメットも売って欲しいって言われるお客さんもいます。

ー雑貨もすごい数が棚にありますよね。

陽子さん:主人がいつかお店を開いたら飾りたいって。あの辺り飾ってあるものはほとんど主人のものなんですよ。集めては箱に入れてしまってたみたいで。

大森さん:いつかお店を開いた時に飾ろうと思ってコツコツ集めていたものが、やっと出せました。

ー新しくカフェをアレンジする予定はありますか?

大森さん:今はまだあまり予定していないです、現状維持ですね (笑)。

陽子さん:だんだん歳もとってくるし、体力勝負なんです (笑)。

ー取材のご協力ありがとうございました!

 

珈琲はフレンチプレスで抽出し紙のフィルターを通さないため、珈琲豆の油分そのままにまろやかでコクのある味わい。カップや食器が一つひとつが違うものを取り扱われていて、彩りがあり素敵でした。

 

陽子さん手作りのチーズケーキとシフォンケーキ。濃厚なチーズケーキはレアな口どけで、甘さの中にしっかりとしたチーズの味わいがありました。シフォンケーキは優しい味わい、珈琲との相性も抜群でした。

 

氷を使用していないかき氷。液体が瞬時にシャーベットになるそうで、シャーベットそのものが甘く、新食感のかき氷でした。夏はかき氷を食べに来るお客さんがとても多いそうで、それも納得の美味しさでした。

 

毎朝手打ちされているお蕎麦。二八蕎麦で、のどごしなめらか、ほのかに風味が香りました。手打ちのため一日10人前ほどしかご提供がないそう。

 

 

鐵馬厩

住所:神奈川県厚木市上荻野1859番地
TEL:046-281-8911
営業時間:4月~9月 11:00~18:00(L.O.17:30) / 10月~3月 11:00~17:00(L.O.16:30)
定休日:水、木曜日
BLOG:https://ameblo.jp/tetsumaya/
Instagram:https://www.instagram.com/tetsumaya_cafe/

あわせて読みたい記事

変わらない味を40年。厚木七沢の洋食店「Cafe Restaurant BENGAL」。

2022年07月11日

厚木でハワイアンの魅力を発信するStudio&Cafe「ALOHA TIME」。

2022年05月27日

本格コーヒーと地元厚木のお米を使った焼菓子が味わえる「HATIS COFFEE」。

2022年10月24日

Follow us