創業200余年、七沢の地で美酒を造る「黄金井酒造」。

お家時間が増え、自宅でお酒を楽しむ方も増えたのではないでしょうか。美味しい食事のお供に美味しい日本酒があると、一層楽しい気持ちになるものですよね。厚木の七沢には創業200年以上にもなる酒造屋さんがあります。「黄金井酒造株式会社」の専務取締役、黄金井さんにお酒のことや厚木のこと、いろいろ話を聞くことができました。

黄金井酒造株式会社 専務取締役
黄金井 陽介 Yosuke Koganei

厚木市出身。黄金井酒造株式会社専務取締役。慣れ親しんだ厚木の町でお酒の魅力、地域の魅力を伝えている。息子のクラブ野球のお手伝いにも行くそう。

 

創業から200年、つないできた伝統。

——黄金井酒造さんはお酒の製造と販売の二本柱で営業をされているんですよね。

黄金井さん:そうですね、製造と販売を中心にしています。

——新酒を造り始める時期はいつ頃なんですか?

黄金井さん:毎年10月1日から酒の仕込みを始めています。あと2、3週間もすれば日本酒の仕込みのシーズンになっていきますね。

——じゃあこれからバタバタしそうな感じですね。10月から造り始めて、出来上がるのはいつ頃なんですか?

黄金井さん:大体1つのお酒の出来上がり自体は、短くてひと月ちょっとぐらいなんです。長いもので2ヶ月から2ヶ月半ぐらいでしょうか。たくさんの銘柄の日本酒を順次仕込んでいきまして、すべてのお酒の仕込みと製造の作業が終わるのが翌年の3月末ぐらいになりますね。この間、季節の商品としてすぐに出荷するものもありますし、ある程度熟成させてから出荷するものもありますし、商品によってまちまちです。

——毎年少しずつ季節や気候が変化しているので、同じお酒の味を造るのも大変そうですね。

黄金井さん:そうですね、ある程度経験は必要ですよね。酒造期の10月からの気候も大切なんですけど、その原料となるお米が育ってる時期の気候もすごく重要で。例えば、お酒を仕込む段階でお米のでんぷんが分解されていく工程があるんですけど、その工程がスムーズにいくときもあれば、うまくいかないこともあります。その年の天候によっては、お米の質によって変わってくることがあるので、その辺りをうまくコントロールしていくのも重要な点になります。

——仕込みの時期になると杜氏さんがお酒を造りに来られるんですか?

黄金井さん:昔は冬のお酒を造る時期に杜氏と蔵人がここで住み込みでお酒を仕込んでいたんです。今は全員が年間雇用している正社員でお酒を造っています。

 

 

 

食事と一緒に楽しめる、日本酒のおすすめ。

——全国新酒鑑評会で金賞を受賞された 盛升(さかります) について教えてください。

黄金井さん:盛升はうちの日本酒のメインブランドですね。販売から50年ほど経ってまして、当時升屋という屋号だったんですけど、その升屋がますます繁盛するように想いを込めて”盛升”と名前を付けました。すっきりあと切れが良いのが特長で、食事と一緒に楽しめる日本酒ですね。

——「ワイングラスで美味しい日本酒アワード2022」も受賞されてましたが、おちょこではなくワイングラスで飲むんですか?

黄金井さん:日本酒もいろんな種類の味わいがあって、大吟醸なんかは香りを感じてほしい商品です。そうするとワイングラスみたいにちょっと口がすぼまってるグラスの方が香りがたまりやすいので、口元に運んだ時にすごく香りを感じやすいんです。香りを感じていただきたいお酒はワイングラスで飲むのも一つのスタイルとして広まっていて、日本酒の魅力をより一層感じていただける方法としてよい文化だと思っています。

——へえー、知りませんでした! 他に黄金井さんのおすすめのお酒があれば教えてもらえますか。

黄金井さん:飲みやすさという観点からは純米吟醸が飲みやすいかなと思います。比較的軽いタッチのお酒でなんですけど、いわゆる淡麗辛口で、吟醸香と呼ばれるフルーティーな香りを少し感じる味わいです。白身魚のカルパッチョやカプレーゼ、焼き鳥塩など、レモンや塩がきいているお料理なんかと相性がいいです。また、純米吟醸の中に”純米吟醸 雄町”という商品がありまして、これは精米歩合50%まで精米しているので、綺麗な旨みを感じていただけます。赤身のお刺身や肉じゃがなど、出汁や醤油ベースの味わいとの相性がいいです。

——とても美味しそうですね。さがみビールも有名ですよね。

黄金井さん:さがみビールを造り始めたのが1998年で、もうすぐ25年経ちます。今では通年で6種類と季節品として3種類程度を製造しています。それぞれのビールには特徴があって、こういうバラエティを提供し、お客様に楽しんでいただけるようにすることも我々クラフトビールメーカーの役割かなと考えています。

——バラエティですか?

黄金井さん:例えば、20年前や30年前は、ビールはラガービールやピルスナーが大部分でしたよね。プラスして黒ビールがあったぐらいで。世界的に見るとたくさんの種類のビールがあって、それまでの日本にはほとんどありませんでした。美味しいビールが世の中にはたくさんあるし、我々のようなクラフトビールメーカーが造ることでお客様に選択肢を作るという意味で、バラエティを提供することがすごく大切な役割なのかなという風に思ってます。

 

 

日本酒という伝統をもっと広めていきたい。

——酒蔵見学は再開していますか?

黄金井さん:少し前から再開してます。それでも人数制限を設けてやっている感じです。一時はコロナでずっと止めていたので、再開の周知にもう少し時間がかかるかもしれないです。

——そうでしたか。見学は黄金井さんが案内してくださるんですか?

黄金井さん:はい、私が案内しています。お客さんと接する機会が減っていたので、再開できるようになったのは良い面の方が圧倒的に多いと感じています。

——ちなみに今日、見学はできますか?

黄金井さん:大丈夫ですよ、行きましょうか。

 

 

 

黄金井さん:これは昭和五年ごろに立った建物なんですよ。もう92、3年経ちます。比較的保存性も良いですね。七沢は地盤が結構固くて、地震が起こっても揺れにくいんですよね。だから建物も綺麗な状態です。

——たしかに、100年近く経っているとは思えないほどしっかりしてますね。

 

 

 

黄金井さん:ここが、40年ぐらい前まで日本酒の仕込みをしていた蔵です。旧蔵と呼んでいます。40年ぐらい前までこういうタンクにもろみを仕込んで酒造りをしていました。

——こちらの旧蔵でお酒が造られていたんですね。

黄金井さん:日本酒という伝統的なものを製造販売しているので、文化的な意味も世の中に広めていきたいと思っています。うちにはこういう古い蔵が残っているので、昔の建物としての文化を感じていただける機会も作れるかなと思っています。今は蔵というものにそもそも触れる機会がないですから。なので酒蔵見学の時にはここへお通ししています。

 

 

 

黄金井さん:新蔵を見る前にちょっと寄り道です。こっちに見えている山々が県立七沢森林公園なんですよ。見えている範囲がほとんど森林公園でして、山と山の間には森のかけ橋という橋が架かっています。この景色がほんとに素晴らしくて。夏の4月や5月の季節は緑がものすごくきれいで、大好きな景色です。

——ほんとにきれいな景色ですね、落ち着きます。

黄金井さん:七沢って七つの沢って書きますけど、下に見えるように小さい支流がたくさん流れているんです。

 

 

 

 

黄金井さん:新蔵はだいぶ現代的です。

——とても現代的ですね。たくさんのメッセージもありますね。

黄金井さん:小学生が地域のことを学ぶ時に来ていただくこともあります。その時にいただいたメッセージですね。

 

 

——黄金井さんは厚木のどんなところが好きですか?

黄金井さん:馴染みがあるのはもちろんなんですけど、西の方面の七沢エリアに来ると自然が豊かに残っていたり、一方で駅前は商業地域の賑やかさがあったり、市全体を見渡してもすごくいろんな魅力のあるところですね。

——厚木ってバランスが良い町ですよね。黄金井酒造さんは地場のものをけっこう使われているとお聞きしました。

黄金井さん:梅酒やブルーベリーのリキュールを造っているんですけど、梅が梅雨明けの6月でブルーベリーはお盆明けの8月の下旬ぐらいに自分達で収穫にいきます。これからの季節は芋掘りがあったり、冬になればゆずやカボスも。栽培いただいている地場の農家さんのお手伝いということで、苗植えや定期的にある除草作業や収穫と、一緒にやらせてもらっていますよ。自分たちで取ってきたものをお酒にできるのは嬉しいですね。

——厚木の5年後10年後がどんな風になっていたらいいですか?

黄金井さん:1年を通して七沢の自然の移り変わりをずっと見ていますが、とても魅力的です。こっちの自然豊かなエリアをもっと多くの人に知ってもらいたいと思っています。

 

 

黄金井酒造株式会社

住所:神奈川県厚木市七沢769
TEL:046-248-0124
FAX:046-247-8089
定休日:祝日、(夏期)土曜・日曜 (冬期)日曜 ※ホームページをご確認ください
ホームページ:https://koganeishuzou.com/
Instagram:https://www.instagram.com/koganeishuzo/?hl=ja
Twitter :https://twitter.com/koganeishuzo
Facebook:https://www.facebook.com/sakarimasu/

蔵元売店情報

営業時間:営業時間:9:00~16:30
定休日:年末年始、天候により臨時休業あり ※ホームページをご確認ください

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